スポーツ歯学について(マウスガードで予防)
- スポーツ歯学は、スポーツ医学と同様、スポーツに起因する外傷や障害に対する対策として始まったもので、アメリカの補綴歯科学会では「活動的なスポーツやレクリエーションに直接的、間接的なかかわり合いを持つ予防法や治療法を含む総合的歯科学」と定義されています。
- すなわち顎口腔領域のスポーツ外傷には、口唇や頬粘膜など、口腔内外の軟組織の損傷、歯の破折や脱臼、さらに顎骨骨折などがありますが、当医院では、そうなってしまった場合の治療を施すことはもちろん、そうなってしまう前の予防策として、そのスポーツと選手に合ったマウスガードを制作し、装着する事をご提案しています。
- マウスガード装着の主な目的は、外傷の防止です。具体的には以下の事があります。(写真は竹田浩人先生がゴルフの時に実際に使っているマウスガードです。)
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- 唇側からの直接的外力から歯(とくに前歯や修復装置)を保護する
- 口唇、舌、頬に対する歯による損傷を防止する
- 下顎に外力が加わったときに上顎との破壊的な接触から歯および修復装置を保護する
- 衝撃力から顎関節(関節腔、関節円板など)を保護する
- 顎関節および歯列を介しての脳への衝撃による脳震盪や、より深刻な脳へのダメージを防ぐ
- 参考文献:スポーツ歯学.東京歯科大学 石上恵一助教授また、これらの目的以外に、マウスガードによる頸部損傷への軽減効果を期待できるとする報告もあります。さらにマウスガード装着により心理的効果が期待でき、顎口腔領域が外傷から守られているという安心感から、より積極的なプレーができるとする報告もあります。
- 自分の歯にあったマウスガードをスポーツをするときに 装着することで歯を守るだけではなく、衝撃を吸収するために脳振盪から 身を守ることができます。
- 市販のものを使用すると歯にピッタリ適合しないため 思わぬトラブルを起こしかねません。
- 当医院では、自分自身の歯列の印象(型)をとり 石膏で模型を製作します。その石膏模型をもとに厚み3~4mmの軟性樹脂を使用して製作します。特に激しいスポーツのときの口腔内に装着して、思う存分、プレーを楽しんで下さい。
いびき、歯ぎしりについて(マウスガードで予防)
- いびきと歯ぎしりは、大人にも子どもにも比較的よく見られる現象です。
- どちらも、当人はあまり困ることがないので、治療までと考える人は少なかったようですが、最近ではいびきは睡眠時無呼吸症候群、歯ぎしりは顎関節症などの原因として知られるようになり、真剣に治療を考える人が多くなって来ています。
いびき用スリープスプリント適用前後の模式図
(下あごが前方へ引き出される事により、呼吸しやすくなります。)
- いびきの主な原因は、鼻腔から喉頭までの空気の通り道(上気道)が、なんらかの理由で狭められたことにあります。空気の通り道が狭められると、呼吸した時の空気抵抗が大きくなり、粘膜や分泌物が振動して、いびきとなってしまいます。
- 軽いいびきならいいのですが、ひどいいびきになって、気道がとじて呼吸ができなくなってしまうと、睡眠時無呼吸症候群の原因となります。
- 歯科でできる治療としては、下顎が下がって舌が気道をふさがないように、下顎を前方で止めておく装置(スリープスプリント)が一般的に使われます。
いびき用スリープスプリント
- この装置は上下顎に一体型の大きなマウスピースのようなものでできており、歯の外側に針金がついていて装置を保持できるようになっています。取り外しのできる装置で睡眠時のみに使用します。
- 現在、いびきの治療は6割以上が歯科で行われています。
- 歯ぎしりは、性別、年齢、人種に関係なく広く見られる現象で、子どもでは約2割に見られるという報告から、8割以上がしているというものまであります。また、小児期のものが年齢とともに自然になくなる場合もありますが、放置して必ず治るかどうかは不明です。
- ひとことで歯ぎしりといっても、あご(下顎)を左右に動かしてギリギリと歯を強くすり合わせるものや、強い力でくいしばるもの、また上下の歯を連続的にカタカタとぶつけるものなども含まれています。
- 歯ぎしりが原因でおこる症状としては、歯の異常なすりへり(歯科では咬耗と呼んでいます)、冷たい物を食べたときに歯にしみる(知覚過敏)、歯が動く(病的な動揺)、顎関節や咀嚼筋の痛みや疲れ(顎関節症)、歯周病の悪化、頭痛などがあります。
- 治療は、前述したような症状があれば歯科医院での治療となり、対症療法としてはいびきと同じようにマウスピースのような装置を歯にかぶせる治療があります。
歯ぎしり用スリープスプリント
- いびき、歯ぎしりは、そのほとんどが歯科医の治療となりますので、お悩みの方は気軽にご来院になりドクターにご相談下さい。